◆岡山天文台 3.8m新技術望遠鏡の愛称が「せいめい望遠鏡」に決定しました。(2018年4月18日)
--- 2018年05月10日ニュース 学部・大学院から ---
理学研究科附属天文台および宇宙物理学教室は、2018年夏の完成に向けて、岡山県南西部の浅口市と矢掛町にまたがる竹林寺山系に「岡山天文台」を設置すべく、開発・建設を進めてきました。
岡山天文台にはアジア最大級である3.8m新技術望遠鏡が建設されます。それを受けて、昨年10月27日から12月20日の間に同望遠鏡の愛称を募集したところ、海外からの応募を含めて1,036通の応募がありました。選定については本年3月に選定委員会を開催し慎重に議論した結果、平安時代の卓越した陰陽師・天文博士である安倍晴明(あべのせいめい)にちなみ、「せいめい望遠鏡」に決定しました。
安倍晴明は全国で天体観測を行ったという言い伝えがあり、岡山天文台の北西約2.3キロメートルの阿部山の山頂付近には、安倍晴明が天体観測のためにかつて居を構えたとされる阿部神社があります。このように京都と岡山の両方にゆかりのある天文研究の大先達にちなんだ名前となりました。また、この望遠鏡で目指すサイエンスの柱の一つ、系外惑星の探査は、宇宙における生命(せいめい)の探査・研究にもつながっています。
せいめい望遠鏡は、2018年8月より観測を開始する予定です。
◆ニュートン式望遠鏡
--- 出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』---
ニュートン式望遠鏡(ニュートンしきぼうえんきょう、Newtonian telescope)は、アイザック・ニュートンにより考案された反射望遠鏡の一形式である。
・概要
筒の先は何もない開放で、反対側にガラスを磨いて凹面にした鏡(主鏡)がある。凹面鏡は放物面であるが、口径が大きくなく焦点距離が長い場合は球面との差はごくわずかであり、放物面にするのに非常にコストがかかるので、球面鏡を採用している市販品も多い。
主鏡で反射され集められた光が焦点を結ぶ少し手前に斜めにした平面の副鏡を置き、光を直角して筒の外に出し、接眼レンズで拡大して目で見る。副鏡は光軸に対して45度傾けてあるため斜鏡とも言い、その向きで真円に見えるような楕円である。
主鏡斜鏡ともアルミニウムなどで金属メッキしてある。高級品では熱膨張の少ないパイレックスなど耐熱ガラスを使う場合がある。
色収差がない特長を生かすため、一般に色収差の少ない高級な接眼レンズが使われる。
・発明
アイザック・ニュートンは色収差の補正が不可能であると考えて屈折望遠鏡に未来はないと判断し、反射望遠鏡の開発に取り組み、ピッチ盤に酸化錫をつけて研磨した凹面主鏡と、傾いた斜鏡の組み合わせによる望遠鏡を発明した。1668年に第一号機を完成、考案はグレゴリー式望遠鏡が先行したが、実物を製作された反射望遠鏡としてはこれが最初である。1671年には改良した第二号機を製作し1672年王立協会の例会に提出し説明をし、1672年3月25日号の会報に掲載され、非常な好成績を収めたためニュートンが会員に推薦される理由となった。
ニュートン自身の著作『光学』によれば、鏡は銅と錫の合金に銀を少し混ぜた金属鏡で、主鏡直径は2インチ(以降in)=約50.8ミリメートル(以降mm)、厚さ約1/3in(約8.5mm)、焦点距離は6.25in(約158.8mm)。A.ケーニヒ『望遠鏡と測距儀』では口径34mm、焦点距離159mm、倍率38倍となっているが、この食い違いについて吉田正太郎は「鏡径2インチ、焦点距離6.25インチではF3.125ですから、当時の技術では放物面の研磨は不可能にちかい」「よく磨けた部分だけを、直径38mmに絞ったのかもしれません」と推測している。
一般にニュートン式の斜鏡は45度であることが多いがこの時には斜鏡の傾きは正確な45度ではなく、またピント調整は蝶ネジで主鏡を動かす点が特徴的である。
王立協会が所有している、大きな球関節に取り付けた望遠鏡の写真をよく見かけるが、これは1766年にヒース・アンド・ウィングが製作した模造品であることが1980年頃に判明している。1978年にイギリス1ポンド紙幣の図柄になったのもこの模造品である。
ただしこの最初の製品で何を見たという記録は残っていない。
1722年になってジョン・ハドリーが口径15cm焦点距離150cmを製作、これが当時使われていた口径15cm、焦点距離40mの空気望遠鏡と同じ性能を持っていると実証されたため、この後反射望遠鏡が非常に発達した。この望遠鏡は現代とほとんど同じ経緯台式架台に搭載されていたが、平面副鏡と接眼レンズが一体として動いて合焦させるという、光学精度の点では感心しない構造である。
◆188cm反射望遠鏡とドーム
岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡はイギリスのグラブ・パーソンズ社により製作された光学赤外線望遠鏡です。主鏡の有効径が74インチ(188センチメートル)であることから、通称「ナナヨン(74)」と呼ばれています。1960年に完成しました。
ナナヨンが納められているドームの直径は20メートル、高さは23メートルあり、重量は150トンと、とても大きな建物です。ドームの開口部の幅は6メートル、長さは22メートルあり、この開口部はドームを回転させることによってどの方角にも向けることができます。
・イギリス生まれの望遠鏡
188cm反射望遠鏡はイギリスのグラブ・パーソンズ社により製作されました。同社製作の同じ口径の望遠鏡はカナダ、オーストラリア、南アフリカとエジプトにもあります。残念ながら、オーストラリア・ストロムロ山天文台の188cm反射望遠鏡は2003年に起こった山火事により焼失しました。
188cm反射望遠鏡の主鏡の焦点距離は915センチメートルあり、鏡筒は長い8角トラス構造となっています。また、副鏡を交換することにより、ニュートン焦点、カセグレン焦点、クーデ焦点と3つの焦点を使い分けることができます。現在では、主にHIDES-Fiber(ハイデス・ファイバー、High Dispersion Echelle Spectrograph、高分散エシェル分光器)、ISLE(アイル、近赤線外分光撮像装置)やMuSCAT(マスカット、Multi-color Simultaneous Camera for studying Atmospheres of Transiting exoplanets、多色撮像装置)などの観測装置をカセグレン焦点に取り付けて観測を行っています。
--- 文:戸田博之(岡山天体物理観測所) ---
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